Romeo & Juliet (San Francisco Ballet)

今年はLincoln Center at the Movies: Great American Danceってことで
Fathomでは、ロイヤルバレエの上映がなくなりました。。。(別の映画館で遅れて上映)

1本目は、サンフランシスコバレエロミオ&ジュリエット
マリアちゃんのTweetによると、5/5撮影時の映像のよう?

Juliet: Maria Kochetkova
Romeo: Davit Karapetyan
Mercutio: Pascal Molat


Helgi Tomasson振付、キャスト表がないので主役以外わからないけど
場面展開は、マクミラン振付版と同じ。
2階立てのセットで中央に階段があり、衣装は豪華。

1幕、市場のシーン。劇場は狭いのか?キチキチに見えた。
娼婦たちのメイクや衣装が、ケバくなくて良い。

SFB1
ジュリエットの部屋のシーン
パリス役Myles Thatcherがカッコよくて、ロミオよりパリスの方がいいじゃん
と思ってしまった(笑)
ジュリエットが嫌がるストーリーに無理がある?

キャピュレット邸の舞踏会に忍び込む
ロミオとマキューシオ、ベンヴォリオ3人の踊りが良かったです。

SFB4

舞踏会での出会いのPDD、ラブリーで良かった♪

SFB2

この版では、舞踏会でジュリエットがマンドリンを弾くシーンがなかったり
ジュリエットの友人の踊りがなくて(3幕にありました)
あっと言う間にバルコニーPDDへ。
2人共、踊りやすい衣装?に着替えてます。
ロミオ役はあまり印象に残らなかったけど、難しいリフトをこなしていました。
振付は、マクミランに影響受けてるところもあって
あまりオリジナリティは感じず。

2幕、市場。マキューシオとベンヴォリオの見せ場があったり
マンドリンダンスの音楽では、アルルカン2人&コロンビーヌの踊り?
この3人が上手かった。
ティボルト役とマキューシオ役のダンサーは、キャラが立っていて好演。
ロミオがティボルトを殺したところを、ジュリエットが見てしまった設定で
2階立てのセットを上手く使い、悲劇がより強調されます。

3幕、ジュリエットの部屋。
SFB4
ベッドは正面でなくて横向きに置かれてた。

SFB3
初夜を過ごしたロミオとジュリエットの別れのPDD
コチェトコワは、恋する演技よりも
悲しみや嘆きの演技の方が良いかも。

ジュリエットに仮死状態になる薬を渡して
神父さんがロミオ宛に手紙書くんだけど
行き違いでロミオは手紙を受け取らなかった描写がありました。

ジュリエットが死んだ と聞いたロミオが、お墓に来て
あっさり殺されてしまうパリスが、かわいそう。。。
ロミオの死に方(倒れ方の演技)が、今いちだった。
目覚めたジュリエットは、ロミオの短剣で胸を差してグサリ
ロミオの上に覆いかぶさって、幕。

プロコフィエフの音楽は、いつ聴いても素晴らしいし
ロミオ&ジュリエットは、いろんな振付版を見比べらるのが楽しい。

テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

Christopher Wheeldon’s Cinderella

San Francisco Balletの「シンデレラ」を鑑賞しにDavid H. Koch Theaterへ。
SFB1

オランダ国立バレエとの共同制作で、初演時ネット中継で見て一番良かった
と思った振付は四季の精。パドドゥは印象に残らなかったけど
豪華だった舞台美術が観たくて、最前列で鑑賞。
客席にはイリーナ&マックス夫妻やケント、マッケンジー芸監、もちろんウィールドンも。
ウィールドン振付2作目の全幕バレエで、来年は新作「冬物語」を振付けるよう。

Cinderella: Maria Kochetkova
Prince: Joan Boada
Stepmother: Marie-Claire D’Lyse
Stepsister Edwina: Vanessa Zahorian
Stepsister Clementine: Frances Chung
Benjamin: Taras Domitro


プロコフィエフの音楽にインスパイアーされるのか、いろんな振付版がありますが
クリストファー・ウィールドン版「シンデレラ」は、ガラスの靴やかぼちゃの馬車の
ペローの童話ではなく、グリム童話を基にしているよう。靴はゴールドで
仙女は登場せず、母親のお墓のそばのハシバミの木や
Fate(守護の精?)4人が、シンデレラの願いを叶える。

ウィールドンのオリジナルとしては、シンデレラと王子の子供時代の描写があり
王子の友人兼側近ベンジャミン役がいて、いじわるでない方の義姉と結ばれる。

1幕、シンデレラの母が亡くなるシーンから4人のFateが登場。
ゴールドのマスクが不気味ですが、母親を天に召してから
常にシンデレラを見守ります。
シンデレラの涙で、母のお墓のそばにハシバミの木が育つ。

場面変わって、宮殿で王子ギョームと友人ベンジャミンの子供時代。
ダンス教師をからかう子役二人がかわいくて、やんちゃそうに演じる。

成長したシンデレラがお墓参り、ハシバミの木が大きくなってます。
父が継母、義姉二人と登場。彼女たちが供えようとした花をシンデレラは拒絶してしまう。

再び宮殿、大人になったギョーム&ベンジャミン。ギョーム役Joan Boadaが
あまり王子っぽくない。ベンジャミン役Taras Domitroの方がエレガントで
踊りもお茶目な演技もよかった。
壁には女性たちの写真が掛けられて、王子に結婚を促す両親。
両親の心配をよそに、服を取り換えて街に繰り出すギョーム&ベンジャミン。

シンデレラの家のキッチン、上手側に暖炉。
回転するテーブルで、食事をサーブするシンデレラ。
Fateの4人が黒子のようで、上手い演出。
シンデレラの代わりに掃除してくれたりするし。

Stepsistersは醜くなくて、Edwinaはいじわる
Clementineは気弱でEdwinaに逆らえない という設定。
二人とも、踊りもコミカルな演技も良かったです。

乞食のふりをした王子が、シンデレラの家に物乞いに。
食事をくれるシンデレラに、優しさを感じるギョーム。
舞踏会の招待状を持ってきたベンジャミンを、継母と義姉二人は
王子だと思い込んで、チヤホヤして取り合いに。
この版では、義姉妹たちの身支度や踊りのレッスンがないので
ガヴォットは、義姉二人の見せ場の踊り。

舞踏会を夢見るシンデレラ、ギョームが笑わせて一緒に踊る。

夜になり、シンデレラへの招待状を暖炉に捨てた継母は義姉たちと舞踏会へ。
一人残されたシンデレラ、暖炉からスモークが出て
Fateの4人にリフトされて星空になり、ハシバミの木の前へ。

葉が生い茂る中から四季の精が登場、シンデレラに踊りを教える。
カツラの色がすごいけど、ウィールドンはアブストラクトの振付が上手いので
この一幕最後のシーンが、やっぱり一番良かったかな。
ソリストの山本帆介さんが、秋の精のリードでした。

英国バレエ(ウィールドンがイギリス人なので)のお約束である被り物も登場~
キタロウのオヤジみたいなのはハシバミの実?童話に出てきた白い鳥や
木の精みたいなの?(グリム童話のダークな雰囲気に合ってる)もいた。
Fate4人の見せ場の踊りもあって、モダンな振付でカッコいい!
(この間にシンデレラがドレスに着替え中)
グリム童話では、ハシバミの木を揺するとドレスが落ちてきたけど
馬車もついてきたんだっけ?

木の枝でできた車輪が現れて、Fate4人が馬車を引き
ドレスに着替えたシンデレラがお城に向かうクライマックス☆
ネット中継でもそうだったけど、客席からおぉーっと歓声が。
幻想的なシーンで、観客の反応がすごかった。

2幕、舞踏会。
クデルカ版の継母はアル中なのか、キッチンドリンカーで舞踏会に行かないけど
ウィールドン版の継母は、舞踏会で飲みすぎて酔っ払う。

継母と義姉たちは、ベンジャミンを王子だと思い込んでいたけど
ギョームが王子の衣装に早替わり。

ウィールドン版では、王子の花嫁候補が招待されていて
ロシアとスペイン、バリの王女が踊り、お付きの人がそれぞれサポート
(バリのお付きだけ女性ダンサーでサポートなし)
王子を追いかけ回すコメディあり。

オランダ国立バレエで観た時はピンとこなかったコールドの踊り
よく揃っていて、難しい振付をこなしていました。
軽そうに見える衣装だともっといいのに。

Fate4人と共にシンデレラが登場。
軽やかだったシンデレラのソロ。妖精のようなコチェトコワ、全幕通して安定した踊り。
王子のバリエーションは、うーん。。。
ベンジャミンとクレメンタインのパドドゥもあります。

見せ場の王子とシンデレラのパドドゥ、これまた難しい振付を考えたもんだ。
肩の上に乗せたり逆さにしたり とリフトが大変そうで、王子が汗だくだったせいか
あまりラブラブな雰囲気を感じず。。。

コーダのワルツ、12時が近づきワイヤーで吊られたシャンデリアが上下する。
継母にマスクをはがされて、Fate4人にリフトされて消えていくシンデレラ。
すぐにセットが変わって(赤い柱が動いて)、その間をシンデレラが走り去る。
シンデレラが片方落としたゴールドの靴を拾うギョーム。

3幕、幕始めは靴に合う女性を探す王子の前に女性達の列。
ロシア、スペイン、バリの王女、なぜか鳥や木の精までいる。

夜空になり、女性達が座っていた椅子が宙に浮かぶ。
ぶつかりながらワイヤーで吊られていく椅子、落ちたら怖いんだけど。
家に戻ったシンデレラは、舞踏会を思い出して踊り
Fate4人にリフトされまくり。こういう振付は上手い。
ゴールドの靴を大事そうに暖炉の上に隠すシンデレラ。

王子が持ってきた靴を無理やり娘に履かせる継母。グリム童話ほどコワくなくてよかった。
靴が入らなくて、キレた継母は暖炉に捨てる。が、シンデレラがもう片方を持って登場。
王子と二人、ハシバミの木の前でアダージョ。幸せいっぱいのしっとりした踊りでよかった。
ベンジャミンとクレメンタインも結ばれて、めでたしめでたし♪
シャンデリアが降りてきて、皆に祝福されてロイヤルウエディング。
SFB3
特筆すべきは、絵本のような舞台美術。Fateの使い方も上手い。
Gaetano Amico、Daniel Deivison-Oliveira、Anthony Spaulding、Shane Wuerthnerは
(マスクで誰か誰だかわからないけど)拍手をいっぱいもらってました。
けっこう重要な役 と思ったら、4人のうち3人がソリストだった。
SFB2
映像を見ていたので、生の舞台だと細かいところもいろいろ楽しめたけど
何度も繰り返し見たいか?と聞かれたら微妙。。。アリスの方が良いかも。

個人的には、シンデレラはビントレー版の方が好み。
来年ABTでは、アシュトン版が初演されます。

テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

The Little Mermaid(San Francisco Ballet)

サンフランシスコバレエの「人魚姫」が、16日PBSで放送されました。

ジョン・ノイマイヤーによる振付で、2005年デンマーク・ロイヤル・バレエで初演。
2007年改訂されてハンブルクバレエで初演。
アンデルセンの原作に基に、演出・舞台装置・照明・衣装もノイマイヤーによるもので
独自の世界を作り出しています。

原作も悲しいお話ですが 悲しい を通り越して、重いバレエです。。。

The Mermaid: Yuan Yuan Tan
Edvard/The Prince: Tiit Helimets
Henriette/The Princess: Sarah Van Patten
The Poet: Lloyd Riggins
The Sea Witch: Davit Karapetyan


原作者アンデルセンの苦悩の愛が創作に反映されたことを、モチーフにしていて
アンデルセン自身を詩人役で登場させて、ストーリー・テラーにする手法。
(アンデルセンは、同性である親友に恋心を抱くも彼は女性と結婚してしまい
その絶望感から「人魚姫」を書き上げた と言われています)

プロローグ、詩人が船上で友人(愛する人)エドヴァードの結婚式を回想。
悲しむ詩人の涙が、海へ落ちていきます。
成就せぬエドヴァートへの想いが、海の底で人魚姫を創り出して
物語は進んで行きます。

詩人役は、ハンブルク・バレエからゲスト出演のロイド・リギンス。
人魚姫役は、ヤンヤン・タンでサンフランシスコ・バレエのプリンシパル。

人魚姫をどうやってバレエで表現したのかな と思ってたけど
衣装は、水色のパンタロン風な長袴が尾ヒレのようで
黒子のような3人の男性にリフトされて、浮遊する姿が幻想的。
(背筋はすごいけど)
ユラユラした腕の振付が、水中のイメージにぴったり。

船では船員たちが訓練して、エドヴァートそっくりな王子はゴルフを練習。
海にゴルフボールが落ちてしまい、拾おうと王子が飛び込み
海の魔法使いが現れ嵐がおきて、溺れる王子を人魚姫が助けて恋をします。

陸に打ち上げられた王子は、人魚姫に助けられたことも知らずに
目覚めさせてくれた修道院女学生(王女)が助けてくれたと思って
彼女に恋をします。

歌舞伎からヒントを得たのか、袴の衣装に隈取りメイクの海の魔法使い
存在感があって、いい味出してました。
人魚姫は海の魔法使いに頼んで、人間の身体にしてもらいますが
このシーンが圧巻!ウロコを剥ぎとられて尾ヒレが引き裂かれていく様子が
見事に表現されていました。

美しい声とひきかえに、人間になった人魚姫は
海の魔法使いの警告通り、激痛で上手く歩くことができず
車椅子に乗せられます。

声を失い何も伝えることができず、みんなのように踊れず
子供のように王子だけを見つめる人魚姫。
王子が別の女性と愛し合うのを見て、失望する姿が切ない。

2幕、狭い部屋でもがき苦しむ人魚姫。
水中で自由に泳いでいた美しい姿とは、うって変わって痛々しい。

王子と王女は、魅力的な人物として描かれてないと思うんだけど
能天気で、ちょっと馬鹿っぽいキャラの王子(古典バレエの男役と同じ?)
暢気で無邪気な性格が、よけい残酷に感じる。

王子と王女の結婚式で、ブライドメイドをする人魚姫。
王子を殺したら人魚の姿に戻れる と海の魔法使いからナイフを渡されても
殺すことはできず、嘆く人魚姫。

ドレスと靴を引きちぎるように脱ぎ捨てるシーンが強烈で
衣裳が、彼女が流す血のように見えた。
技術的にも演劇的にもハードな役を演じたヤンヤン・タンの
感情表現が素晴らしく、涙を誘いました。

自身の分身である人魚姫に寄り添う詩人の存在感も良かった。
人魚姫が泡となって消える時、詩人が現れて人魚姫と共に踊ります。
詩人(アンデルセン)の心の痛みと重なり
一体になった魂が、星空に静かに消えていくラストが美しかった。

詩人と人魚姫の2つの苦しい恋が絡んで
船上から海底、浜辺、船内 と変わる舞台変換が見事。
セットはシンプルだけど、波に見立てた光線の演出が効果的。
レーラ・アウエルバッハの音楽は、現代音楽で
雅楽を思わせるような雰囲気も。

人魚姫って、子供向けのお話でなくて
大人な物語だったんですね。原作も読みなおさないと。

椿姫とはまた違った味わいで、心を鷲掴みにされるような
ノイマイヤーの作品。ズッシリきました。

テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術