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Matthew Bourne's Swan Lake

演出家マシュー・ボーン振付のコンテンポラリーダンスSwan Lakeを鑑賞。
1995年ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で初演。96年ローレンス・オリヴィエ賞受賞。
NYでは1998年ブロードウェイのニール・サイモン劇場で初演され
99年トニー賞最優秀ミュージカル演出賞、振付賞、衣裳デザイン賞を受賞。

Swan Lake2
男性ダンサーが白鳥を踊る という斬新な演出が話題を呼び
アダム・クーパーを一躍有名にし、映画Billy Elliotの感動のラストシーンでも登場。

物語は、60年代の英国。子供の頃から白鳥の夢をみる王子は
女王(母親)の愛情に飢え、孤独な日々を送る。
生きることに疲れて絶望して自殺を試みた瞬間、夢の中の白鳥が止めに入り
一緒に踊って、生きる歓びを取り戻すが。。。
Swan Lake1
水曜マチネでしたが、プレビュー動画のキャストでした☆

The Swan/Stranger: Richard Winsor
The Prince: Dominic North
The Queen: Nina Goldman
The Girlfriend: Madelaine Brennan
The Private Secretary: Steve Kirkham
The Young Prince: Phil Jack Gardner

チャイコフスキーの音楽を聴くと、プティパの振付が浮かんでくるほど
古典バレエの白鳥の湖は何度も見ているので、比べてしまうかな?と思ったけど
全くの別物として楽しめました♪
古典バレエがファンタジーの世界だとしたら、リアルな幻想ってカンジ。
一番気に入ったのは、2幕Swank Barでの乾杯の踊りに合わせた振付。
1幕の蛾と蝶のパロディバレエ?は、笑えた~
コミカルな木こり役のダンサー、実は踊りが上手そう。

演出家によると、白鳥は王子の想像の中での存在なのだそう。
愛を必要としていて、王室という籠の中に閉じ込められて
ありのままの自分でいることができない王子にとって
力強くて自由な白鳥は、王子がそうなりたい と思う願望・憧憬であり救いの象徴のよう。
父親がいないことも影響しているのでしょうか?
王子とThe Swanの一体化が、ユニゾンの振付で表現されています。

ハムレットっぽいところもあり、湖で入水自殺したルードヴィヒ2世を連想させたり
王子の影の部分に焦点をあてたパリ・オペラ座のヌレエフ版を
思い出させるところもありました。(白鳥が王子の夢の中の存在というのも)

かわいらしい顔のドミニク・ノースは、群舞の白鳥役から王子役に昇格したそう。
子どものまま成長した無垢で繊細な王子で、いたわってあげたくなった。
表情豊かで、踊りも綺麗でした。

The Swan&Strangerは、体力的にもかなり過酷な役!
踊りが上手いのはもちろん、演技力とカリスマ性も必要で
スワン役に抜擢=ビリー・エリオットの成功 と言う映画の結末に納得です。

古典バレエの白鳥は、女性ダンサーによって優雅に演じられていますが
実際の野生の白鳥って、他の動物を威嚇したり
べつの鳥をつついたりする獰猛な動物なんですよね。
日本では近くで見る機会がそれほどなかったけど、NY郊外ではアチコチで見るので
残酷!コワっ!て思うことがよくあります。
そんな白鳥の特徴をよくとらえた振付で、NYCセンターが狭く感じるほど躍動感溢れる踊り。
オーケストラ席だったけど、2階席からの方が2幕群舞のフォーメーションが見やすいかも?
ヒッチコックの映画「鳥」をイメージしたらしく、まさに4幕はそんな雰囲気。

スワン役のリチャード・ウィンザーは、関節が柔らかそうで鳥っぽい動きが野性的。
ストレンジャーとの演じ分けも見事でした。3幕舞踏会のシーンではとっても魅惑的☆
動物のスワンとは全く異なる生身の男性になっていて、目線や仕草が素敵。
やりすぎないところも良い。
あ、男性ダンサーが話題になる作品だけど、舞踏会での女性ダンサーも皆さん上手です。

ラストのクライマックスは、圧巻!
古典バレエだと、ハッピーエンド版も白鳥&王子身投げ版も
あの壮大な音楽と振付が今ひとつ合ってなくて、最後盛り上がりにかけるんだけど
(どちらもチャイコフスキーのオリジナル台本の結末でないから仕方ないけど)
このマシュー・ボーン版は、一番ピッタリ感じるほど。
この作品のために書き下ろされたのでは?と錯覚してしまうほど
マシュー・ボーンの音楽・振付センスを感じました。
生演奏でなかったのが残念~

Swan Lake4
英国王室を風刺するユーモアもあり
登場する女性たちが、自由奔放で浮気もの と描かれているのも面白く
照明を駆使した表現などディテールが細かい演出。
特に気に入ったのは、ストレンジャーが親指を灰皿に差し入れて額に黒い線をなぞる場面。

イロイロ深読みして精神分析解釈もできるし
エンターテイメント性のある舞台で引き込まれました。

☆NY Timesの記事はこちら

テーマ : ダンス - ジャンル : 学問・文化・芸術