Onegin@MET Vol.1

ABT4週目の演目は、物語バレエの傑作オネーギンです。

1965年シュツットガルト・バレエで初演。プーシキンの韻文小説「エフゲニー・オネーギン」を基に
オペラ「「エフゲニー・オネーギン」からヒントを得たジョン・クランコが振付。
音楽はオペラの曲は使わずに(許可が下りなかったため)
チャイコフスキーの他の曲を繋ぎ合わせて(マクミランの「マノン」と同じ手法)
クルト=ハインツ・シュトルツェがオーケストラ用に編曲したそうですが、選曲が素晴らしい~
Onegin1

クランコ財団が許可しないと上演されないそうですが、ABTでの上演は2002年以来。
初めて見る演目なので、マチネ&ソワレのダブルヘッダーでじっくり鑑賞。

Eugene Onegin: Cory Stearns
Tatiana: Irina Dvorovenko
Olga: Sarah Lane
Lensky: Daniil Simkin
Prince Gremin: Vitali Krauchenka


Onegin2
小さい文字が書かれた手紙を連想させる紗幕。

第一幕 ラーリナ夫人邸の庭。のどかなロシアの田舎で、淡い色合いのセット。
ラーリナ夫人、オルガ、乳母がおしゃべりしながら誕生パーティのドレスを縫っている。
タチアナは本を読んでいて、オルガが本を取りあげてドレスをあてがったりしても
本の虫。衣装からも、二人の姉妹の性格の違いがわかる。
イリーナはタチアナ役を演じるには美人すぎるかな と思ったけど
空想の世界にふける文学少女ってカンジ。
オルガ役レーンは陽気で、あまり物事を深く考えないタイプ。

女性群舞とオルガの踊りの後、鏡をのぞくと自分の結婚相手が映って見える 
という古い遊び?をする。オルガがテーブルの上の鏡をのぞいてると
彼女の婚約者の詩人レンスキーが登場。シムキンは、さわやかな好青年っぽい。
タチアナが鏡をのぞくと、レンスキーの友人オネーギンが登場。
突然鏡に映るオネーギンに、タチアナは驚いてしまいます。
この鏡の演出は、後のシーン鏡のパドドゥの伏線になっています。

レンスキーのソロ。ターンの連続でバランスを取るのが難しそうな振付。
童顔のシムキンにレンスキー役ってどうなんだろ って思ってたけど
この振付を見て、キャスティングされたのに納得。詩的な雰囲気で
ふわっと跳躍も軽く、エレガント。オルガとPDDになって
幸せな恋人同士の踊り。暗い曲調になるところがあるのは
後の悲劇の暗示?デビューにしては、まずまずだったけど
二人とも初めて踊る役で緊張してるのか、ちょっと硬かったような。

ラブラブなオルガ&レンスキーのPDDとは対照的な
タチアナとオネーギンのPDD。オネーギンは嫌な男に演じられることが多いようだけど
かわいい顔したコリー君はあまり冷酷に見えない。いちおう紳士的にエスコート。
ニヒルな笑いが、田舎の貴族をこ馬鹿にしたカンジ?
夢見がちな少女タチアナは、洗練されたオネーギンに惹かれたようだけど
サンクトペテルブルグで放蕩を続けたオネーギンは
田舎暮らしに退屈した様子。途中タチアナの存在を忘れたかのように、ソロの踊り。
PDDに戻っても、オネーギンの表情は暗いまま。
10年前もタチアナ役を演じたイリーナ、「ロミオとジュリエット」ではover actingに見えたけど
今回は抑制された演技が良かった。

村の若者たちが集い、コールドも音楽にのって踊るのが難しそうな振付。、
ラストは、男女ペアの対列が舞台上手から下手、下手から上手へと
連続ジュテで駆け抜けていきます。

間奏中に場面変わって、タチアナの寝室。舞台中央に鏡、上手にベッド、下手にテーブル。
眠れず初恋の相手に手紙を書いてると、乳母が寝かしつけに来るのが
ジュリエットと乳母のシーンっぽい?
手紙を書くうちに、ウトウト眠ってしまったタチアナ。

有名な鏡のPDD☆ 鏡に映ったタチアナは、別のダンサーが演じます。
鏡から出てきたオネーギンと夢の中で踊るタチアナ。高揚する恋心を表現した踊りで
アクロバティックなリフトの連続、その合間に跳んでターンしてサポートして と
男性ダンサーにとっては、鬼振付。
音楽は「ロミオとジュリエット」のデュエットが使われています。
オネーギンが鏡の中に消えていき、夢から目覚め
夜が明けて、オネーギンへの手紙を乳母に託します。

インターミッションはさんで二幕、タチアナの誕生パーティー。
微笑ましいオルガ&レンスキーの踊りとは対照的に
すぐにタチアナから立ち去るオネーギン。
みんなが楽しそうに踊る中、1人カードで退屈を紛らわします。
二人きりになった時に、タチアナに手紙を返そうしますが
何度渡そうとしても受け取らない彼女にイラついたオネーギンは
彼女の背後から両手を伸ばして、目の前で手紙を破ります。。。

遠縁グレーミン公爵が登場。タチアナを見初めて、ラーリナ夫人は縁談に期待してます。
純情娘の恋愛悲劇に付き合わされた憂さ晴らしに、レンスキーにヤツ当たりしようと
オルガにちょっかいを出すオネーギン。
傷ついたタチアナの嘆きの踊りでさらにウザくなり、再びオルガと踊ります。
1幕での表現は物足りなく感じたコリー君でしたが、2&3幕は良かった。

オネーギンと一緒にレンスキーをからかって無邪気に踊るオルガは
楽しいことがやめられない。シムキンが手袋を袖口にしこむのをチェック。
純朴なレンスキーは、友人オネーギンの裏切りと婚約者の気まぐれで
ロマンティックな理想が砕け散り、怒りが爆発。
キレるまでの危うい雰囲気にハラハラした-
手袋でオネーギンの頬を叩いて、決闘を申し込むレンスキー。
オネーギンは申し出に応じ、タチアナとオルガは泣き崩れます。

間奏中、夜の森に向かう二人。
決闘前レンスキーの悲しみを表現したソロの踊り、柔らかい背中の反りが美しいシムキン。
決闘をやめるよう懇願するオルガ&タチアナ姉妹とのパドドロワ。
オネーギンが登場して、本当にするのかー とピルエットの連続。

舞台奥で、オネーギンの銃弾に倒れるレンスキー(下手側ボックスからは見えない)
友人を殺してしまった呵責に苦しみ、初めて感情をあらわにするオネーギン。
レンスキーを殺し妹を不幸にしたオネーギンに、初めて冷然と接するタチアナ。
後の二人の関係を象徴しているよう?

インターミッションはさんで三幕、サンクトペテルブルグのグレーミン公爵の宮殿。
2幕田舎との対比で、タチアナの現在の栄華がわかる。
絢爛豪華な舞踏会のセット&衣装に、客席から思わず拍手。
虚しさから逃れるように放浪の末、サンクトペテルブルグに戻ってきたオネーギンが
パーティに姿を現します。原作では3年後位で?26歳だったのに、老けメイクにビックリ!
オネーギンの心情的変化を視覚的に見せたんだろうけど
バレエでは年齢設定がもっと上なのかな?
白髪混じりのネーギンが、決闘後の心満たされぬ日々を回想するように
女性たちと踊るフラッシュバック。人生に疲れた感が出ていて良かった。

グレーミン公爵夫人となった気品溢れるタチアナが登場。ゴージャスだったイリーナ☆
穏やかな曲で、夫婦のPDD。誠実そうなグレーミン公爵と踊る
美しく成熟したタチアナを見て、驚くオネーギン。失ったものの大きさに気づき
紗幕越しに、過去の出来事やオネーギンの心象風景が見える演出が◎

場面変わって、タチアナの部屋。
シックな衣装に着替えて、オネーギンからの手紙を読むタチアナ。
テーブルに鏡が置いてあり、部屋に入ってきたグレーミン公爵が映る。
1幕のオネーギンが鏡に映ったシーンを思い出させるこの演出も上手いなーと思った。

夫が部屋を出て行き、オネーギンが部屋に入ってきて手紙のPDD 
泣けたー コレ振付けたクランコすごい!と思った。踊りこなすダンサーもすごいけど。
以前とは別人のように、激しく愛を求めて跪くオネーギン。
夫を裏切ることはできないタチアナ。途中で鏡のPDDと同じ曲になり
少女の頃に見た夢を思い出したのか、我を忘れそうになりながらも
最後は毅然とした態度でオネーギンからの手紙を破って、2幕とは立場が逆に。
絶望したオネーギンが去った後、思わず追いかけそうになるけど
何とか踏みとどまり、それまで抑えてきた感情が一気に溢れ出た表現が良かった。
観客の方に向き直って、嘆き悲むタチアナの前に幕。

いろいろ対比させた構成が効果的で、心理描写を物語るドラマティックな振付が素晴らしかった。
Onegin4
編曲したクルト・ハインツ・シュトルツェさんにも拍手!
しばらく「フランチェスカ・ダ・リミニ」を聴いて余韻に浸ってました。。。


★オマケ★
Misty2
ラ・バヤデールでガムザッティ役を踊ってたミスティ・コープランド
自分の火の鳥の写真↓をバックに撮影中。   
Misty3

Misty1

私と同じようにコソッとミスティの写真を撮ってた男性がいて、どこかで見たことある? 
と思ったら、ABTのコールドのダンサーだった。つい名前で呼んで話しかけたら
怪我して今シーズンは踊れないそうで、残念~
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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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